5期キタネコショート小説
人間界。 バイトの帰り道、ネコ娘はバイト仲間と一緒に歩いていた。 20歳前後の男女5人で。 「猫野さんの好きな人ってどんな人?」 女の子がネコ娘に聞いた。 ネコ娘は人間名・猫野宏美と名乗っている。 「エヘヘ…そうねー。普段はのんびりしてるけど、 いざという時頼りになって、とってもかっこいいの!」 照れながらも嬉しそうに話すネコ娘。もちろんそのウワサの人はあの人。 「へー、観てみたいわね−。」 そんなネコ娘の話を聞いて怪訝な顔をする男がバイト仲間に一人いた。 どうやら彼はネコ娘に気があるらしい。 その時、もう一人の男がある人物に驚く。 「うわ、何だ?あれ。今時珍しい格好の奴がいるぜ。」 カランコロンと下駄の音。ちゃんちゃんこを着た少年。 そう、あれがそのウワサの… 「鬼太郎!!」 ネコ娘は喜んでかけ寄る。 「やあ、ネコむ…いや、猫野さん…」 ネコ娘が人間といるのを観て、あわてて言い直す鬼太郎。 「え?まさかあれが猫野さんの好きな人?」 「変わってるねー…」 「でもかわいー!」 女の子達が盛り上がる。男達は… 「フン、チビでひ弱そうじゃないか!」 「おい…」 「こいつ、猫野さんのこと…」 ネコ娘を好きな男が鬼太郎とネコ娘の側に行く。 「猫野さん、今度オレの出るボクシングの試合観にこない?」 「うーん…鬼太郎、行く?」 「ボクは…あまり興味ないから…」 「だろうね。君は怖くて殴り合いなんて観られないだろう?」 「…怖い?」 鬼太郎はややうつむき、目だけをこちらに向けて落着いた口調で言った。 「怖いっていうのは、地獄を観るようなことだと思うけど…?」 その様子に少し背筋が凍る男。 「くっ…(何だ?こいつ…)」 「アハハ…、じゃあ、みんな、お疲れ様ー!」 その場をごまかすように笑ってバイト仲間と別れるネコ娘。 「(鬼太郎、負けず嫌いだからなあ…)」 苦笑しながら鬼太郎と一緒に横丁に帰ろうとした。 そこへ、車が一台、暴走して来る。どうやら居眠り運転らしい。 「危ない!!」 鬼太郎はとっさに車の片方のタイヤに毛針を刺すが、 急には止まらず、 人のたくさんいる歩道に車は向っている。 しかたなく、鬼太郎は車の前に飛び出て、両手で抑えて止めた。 「う…受け止めた…」 みんな驚く。 パッパッと両手をたたき払う鬼太郎。 「ふう、危ないなあ…」 「なんなんだ?こいつ…」 ネコ娘に片想いしていた男もビックリしている。 「鬼太郎!大丈夫?」 「ああ…さあ、帰ろう。夕飯の買い物をしてたんだ。君も一緒に食べるかい?」 「うん!!」 「見かけによらないね…」 「猫野さんの彼氏、すごーい…!」 「フフ…、鬼太郎ってスーパーマンみたいね。」 「すうぱあまん?何それ?」 ネコ娘はご機嫌な様子で、鬼太郎の腕に自分の腕をからめて妖怪横丁に帰って行った。 終わり |
ネコ娘も結構もてるから、人間の男性にも好かれてそう。
鬼太郎は見かけによらず力持ち。
何日も大きな岩をかかえることもできるくらい。
なめられそうな感じだから、ちょっと見返してやりたいという想いからこんな話を思いついたのでした。
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キタネコ小説その2