クラキルパラレル小説

「クラピカ王国」
第二話〜愛の規律〜



BL、クラピカ×キルアのカップリングが嫌いな人、18歳未満の方は読まないで下さい。
ちょっとイルミ→キルアなカンケイでもあります。




朝、目覚めたキルア。ベッドに一人…。
窓の外に見えたのは霧の中にかすかに見える
あのあこがれの世界…クラピカ王国…

「!?」

キルアはガバッと起き上がった。
部屋を見渡す。ここは…

「おはよう、キル。」

「!!」


「今日はこれから仕事だからね。
早く準備しなよ。」

「あ…兄貴…」

どうして?なんでここに!?

「どうした?キル…」

「オレは…クラピカ王国に行ったはず…」

「え?何言ってるの?キル。オレたちが
あそこに入れるはずないだろ?
夢でも見たの?しっかりしなよ。」

「ゆ…夢!?」

クラピカに会えて…友達ができて…
クラピカがオレのこと好きになってくれて…

『おまえじゃないと…ダメなんだ…』

あれは…

『私の運命の相手なのだと思う…』

夢…?

『おまえがいないともう私は生きていけない…』

全部…夢…?

『…いつまでも…ここにいてくれ…私と共に…』

そんな…

「まだ寝ぼけてるのかい?キル、仕事に行く時間だよ。」

「…嫌だ…嫌だ!!もう、そんな…!
クラピカ!!クラピカーッ!!」


キルアは泣き叫んだ。




キルアはそこで目が覚めた。
今度こそ本当に。

「……ここ…」

そこは豪華な部屋。クラピカ王国の一室。
キルアの部屋として用意された部屋だった。

「…夢……」

そう、こっちが現実。キルアは元いた暗殺業の家に
もどったという悪夢を見ていただけだった。

「………」

キルアはホッとしたが、体はまだ震えていた。
汗ビッショリで息も荒かった。

そこにノックの音がした。

「キルア?どうした?!」

クラピカだ。隣の部屋ということもあり、
キルアの叫び声が聞こえたらしい。

「なんでもないよ…」

そう言いながらも声も震えていたので、
尋常ではないと、クラピカが
心配してキルアの部屋に入ってきた。

「なんでもないようには見えんな…」

クラピカがキルアのいるベッドに近づくと、
キルアはうつむいたまま、クラピカに抱きついた。

「キルア…」

クラピカがそっとキルアの顔を上げると
キルアは涙を流していた。

「…恐い夢でも見たのか…?」

「…この国に来る前の嫌な
世界の夢……」


クラピカはギュッとキルアを抱きしめ返した。

「ここがおまえの生きている場所だ…
夢じゃない…!」

「うん…」


キルアもクラピカをギュッと抱きしめた。

クラピカはキルアを一人で寝かせたことを後悔していた。

昨日は仕事で遅くなるので一緒に寝れないと断ったのだ。
本当の理由はそういうことではなかったのだが



クラピカはレオリオに相談することにした。
レオリオの私室に行くクラピカ。


そこは医療関係の書物や薬品がたくさんある。
クラピカ王国一の病院でもあった。


「なんだ?しけたツラして…。
この前までちょっと睡眠不足だったようなんで、
睡眠導入剤をやったから眠れるようにはなっただろ?」

「…レオリオ…私は…自分がこんなに
浅ましい人間だとは知らなかった…。」

「はあ?何のこった?」

俯いたまま真剣に話すクラピカ。しかし、レオリオには彼が
何を言おうとしているのかまだわからなかった。

「…私は、この国を治める立場だ。
だから、規則正しい生活をしなければならない。」

「はあ…」

「そのため私は、キルアとの逢瀬を
あまり多くしすぎてはいけないと……!!」

「………」

レオリオにはなんとなく
クラピカが言わんとしてることがわかってきた。

「だが、そのせいで私はキルアに
辛い思いをさせているようだ…!」

「…で?おまえは何を求めてるんだ?」

ちょっと呆れた様子でそう聞かれて
クラピカは顔を赤くした。

レオリオはため息をつく。

「ほらよ!」

そう言ってレオリオが
クラピカに小さい瓶を渡した。

「…?何だ?これは…」

「強精剤!」

「なっ…!何でこんな物を
私に渡す!?」

「えっ?違うのか?」


クラピカは瓶をレオリオに押し返した。
そして、恥を捨ててハッキリ言った。

「私は…っ、キルアと共に
夜を過ごすと…抑えがきかなくなるのだ!」

「へ?……逆?」

「レオリオならいざ知らず、自分が性的に
こんなに溺れる人間だったとは…っ!!」

「なんだそりゃ!!
……まあ…確かに…おまえがそんなことで
悩むようになるとは意外だな…」

「…たまには添い寝ですめばいいのだが…
キルアが…求めてきて…」

「んじゃ何か?
この前まで睡眠不足だったのは毎晩…」

「…そうだっ!!
始めは断るのだが、あの目で見つめられると…
触れられると…肌をさらけ出されると…
もう…」

「…おまえの精力衰えさせる薬はあるけどよ、
キルアには何の薬も効かねえからな。」

「そう…なのか…?」


「キルアは暗殺家業で、毒もっても
死なねえ体に鍛えられてるからなあ。
睡眠薬も効かねえだろうし…」

「………」

「やっぱちゃんと週に一度や二度で済むように、
他の日はキルアはゴンにまかせた方がいいな。
あいつらなら一緒にいても何も問題はないだろ?」

「…あ、ああ…。」

やはりそれしかないか…
クラピカは俯いてため息をついた。



キルアもそのころため息をついていた。

クラピカ城のゴンの部屋のベランダで一緒に食事を済ませて
ジュースを飲んでいた所だった。

「どうしたの?キルア。」

心配してゴンが聞いた。
すると、キルアが逆に聞いてきた。

「…ゴンはクラピカの目が
赤くなったの、見たことあるか?」

「え?えーと…
オレはないけど、レオリオはあるって言ってた。」

「えっ!?あのオッサンが!?」

肘をついてボーッとしていたキルアが、あわてたように
こっちを見て立ち上がり、叫んだ。

「テレビで遠い国の残酷な
映画を観た時に…だったかな?」

「…なんだ…そうか…」


キルアは拍子抜けしたようにイスに座り直した。
そして言った。

「オレ…見たよ…クラピカの赤い目…」

「えっ?ホントッ!?」

「ああ…」


またキルアは頬に手をあててテーブルに肘をつき、
遠くを見つめるような感じにもどり、話した。

「でも、クラピカの目が赤くなるのは
すっごく怒った時とか、感情が高ぶった
時だって聞いたけど…。」

「うん…すっごく興奮した時だろ?
すっげえよ…それまでより
でかくなるし、激しいし…」

「???」

キルアはウットリした目で
ゴンにはわからない話をしている。

「オレは毎日でもいいんだけど、
クラピカは節操がないとダメだって言うから、
週に一度か二度にしようって言われた。
だから、それ以外の日はゴンと一緒に
寝るってこと。まあ…いいけどね。」

「せっそう?
んー、よくわかんないけど、
オレはべつにキルアと一緒に
寝るのはかまわないよ。枕投げしよっ!」

「おう!」

キルアはゴンと一緒の時は無邪気な子供でしかなく、
親友となった二人は楽しく遊んで疲れて眠る。



それから、クラピカの王子としての仕事が一段落して、
しばらくおあずけにしていた恋人との
夜の密会が久しぶりに行なわれようとする日…

キルアはワクワクして待っていた。
クラピカはちょっと緊張ぎみだった。

一線引いていたこの数日間、
自分を見つめ直すことになっていたからだ。

「我ながら本当に恥ずかしい…」

思い出すと顔が火照る。

しかし、すべてはキルアを愛するゆえの
行為であり、キルアも求めているのだ。

この国では同性同士で愛し合ってはいけないなどの法もなかったし、
12歳から大人扱いされ、仕事もしている。
性行為は互いの合意の上なら各自の責任、というような感じだが、
なんせ悪人がいないのでそのことで問題になったことはない。
だが、16歳未満はあからさまにするのもどうかという常識もあり、
内密にしている者達も数人はいるであろう。

クラピカとキルアもその中の一組というわけで、
そう公にすることもできず、二人の仲を知っているのは
クラピカの親友・レオリオだけだ。

キルアに何の薬も効かないと知り、自分だけが薬で
自制をするというのも気が引けたので、クラピカはそれはやめた。
何よりキルアが二人きりの夜をどんなに待ちわびていたか…
それをふみにじるようなマネはしたくなかった。
そんなことをしたら…きっとキルアはまた悪夢に
うなされることになる…クラピカはそう思った。

明日は寝坊してもかまわない日だ。今夜は思う存分互いに
愛し合えばいい…レオリオにもそう言われた。
人に言われるのはとても恥ずかしいことだが…
クラピカはそうしようと決めていた。


クラピカの部屋には寝室から入れる個人用の風呂があった。

夜、クラピカの部屋に来たキルアが言った。

「ねえ…クラピカ…
一緒にお風呂…入らない?」

「…ゴンと大風呂に入って
きたのではなかったのか?」


クラピカ城には大浴場がいくつかあり、クラピカの側近は
すべての風呂に入ることが許されている。

「昼間ゴンと泥だらけになって遊んだから、
汚れを落として後は二人で遊んでただけだよ。
オレがクラピカとお風呂に入るってのは…」

キルアの目が妖しげにクラピカを見つめた。

ああ…そういうことか…

クラピカはキルアの意図を察して
フッと笑い、承諾した。

クラピカ専用の風呂なので
この風呂はクラピカ以外は使ったことがなかった。
そんなに広くはないが豪華な作りだった。

キルアは湯船に入って、
シャワーを浴びているクラピカを見つめていた。



華奢な体できれいな肌…
あまり筋肉はついていないので男らしくはない。
だが、そんなクラピカにキルアは抱かれたいと思うのだ。
好きになってしまったから…自分を変えてくれる天使のように
キルアには思えた。まぶしいその姿に見とれてしまう。
シャワーをキュッと止めて、こちらを見るクラピカ。

「…あまり見つめるな。照れる…」

「何を今更言ってんの…」

クラピカは照れると言うわりにはもう目付きが
キリッとしていてそれは男らしく思えた。

キルアは湯船から上がり、クラピカにそっと抱きついた。
クラピカはそれを優しく抱き返す。

温かい…お互い濡れた肌が触れ合う。キルアはクラピカの
首に口付けをした。クラピカはキルアのあごをそっと上げて
上を向かせて唇を奪う。キルアも答えるようにその行為に
酔いしれていく。しだいに深い口付けになっていった。
息が乱れて力が抜けていく。

「はぁ…はぁ…」

腰がくだけそうになってしゃがみこもうとする
キルアをささえるクラピカ。

「キルア…寂しい思いをさせて
すまなかったな…。でも…私はいつでも
おまえのことを考えているぞ…」

「クラピカ…」


キルアはその言葉が嬉しくて涙が出そうになった。

「今夜は…眠らせない…いいか?」

「うん…!いっぱいして!!」


無邪気なようで性に貪欲な恋人は
あどけない笑顔でいてたまらなく煽る。

「ねえ…クラピカの…
口でしていい…?」

クラピカは正直一瞬とまどったが、
すぐに優しい微笑で返した。

キルアはその笑顔を肯定とみなしてそっと
クラピカ自身をくわえた。

「んっ…」

ため息交じりの声が風呂に響いて
よけいに興奮する。

キルアは夢中になってクラピカを愛撫した。
キルアの舌と唇でクラピカの息がどんどん荒くなっていく。

「はっ…んうっ…」

耐えるようにしていたクラピカが
キルアの頭を離した。

「もう…いい…
続きはおまえの下の口で…」


「…そう…?(まあいいか…
オレも早く欲しいし…)」



「キルア…そこに膝をついて、
湯船の所に肘をついてろ。」

「え?こう?」


膝をつく所には柔らかいマットがあった。自然とお尻を向かせる格好である。
クラピカはボディーシャンプーを手に流して指をl本キルアの蕾に入れた。

「んっ…」

久しぶりにそこにクラピカが触れて、キルアの体は嬉しさで震えた。

指が増えていき、ほぐしていくと、キルアは身じろいだ。

「はぁ…」

指が抜かれた。

するとクラピカの片手がキルアの前を軽く握った。

「やっ…」

「もうこんなになってるのか…」

「だ…って…はや…く…」

「これが欲しいのか?」


今度はクラピカが自分のモノを握って言った。
キルアはふりむいてそれを愛しげに見つめた。
先ほどキルアが愛撫したせいで
クラピカの方もとっくに準備万端の様子だ。

「うん…早く…欲しい…」

腰を少し上げるキルア。クラピカの胸がドクンとなった。

ゆっくりキルアの中に入っていく。

「あっ…あ…っ」

ずっと待っていたこの時、キルアは全身で喜びに震えた。

クラピカがキルアの中を満たしていく。

「あっ…ふっ…」

クラピカはそのままキルアを膝に乗せる
格好でキルアを抱きしめた。

「ああっ…!ふか…いっ…」

自分の体重で最奥まで届き、身じろぐキルア。

クラピカはキルアの両足を下から
持って腰を打ちつけた。

「あっ!あっ!あんっ!」

上下されて感じる所に当たり、たまらなく快感に酔いしれるキルア。

体製を変えて繰り返される律動。
キルアはマットの上に四つんばいになって
腰を上げる形になっていた。

「あうっ…んっ…」

激しくなっていくクラピカの動き。キルアがそっと振り返り、
クラピカを見るとちょっと目が赤くなっていた。
キルアは微笑む。怒りではなく、キルアとの行為に
興奮してそうなっているのだから。

互いにイった後、息を切らしながらも
キルアはもっと欲しいとねだる。

「続きはベッドに行ってからだ…」

クラピカは優しくそう言うとキルアを抱きかかえて、大きなタオルで
おおったベッドにおろし、髪の毛を小さなタオルで拭いた。

「そんなのいいから早く〜」

「濡れたままでは風邪をひくだろう。」

ちょっとふくれているかわいい恋人をよそにそのネコっ毛を
拭くクラピカ。自分もきちんと拭いた上で、
キルアの待つベッドに、覆いかぶさるように横になった。

再び熱いキスをして、互いを求め合う。

クラピカがそっとキルアの蕾に指を入れた。

「んっ…」

「まだ私の放ったモノが奥に入ったままだな。」

「そりゃそうだよ。まだやるんでしょ?
このままできるよ。早く入れて…!」

「わかった…」


平静を装っているクラピカもキルアの誘うようなしぐさに
またさらに熱くなっていた。

キルアが自ら足を広げて待っている。
クラピカはその蕾に自分の欲望を再び埋め込んでいく。

「あっ…ああっ…んっ」

歓喜の声がもれて体がのけぞるキルア。
体を揺さぶられて快感でおかしくなりそうなくらいだが、
キルアには一番幸せな時間だった。

愛する人に愛されて独占されて…
普段は…説教もするが優しく、おだやかなクラピカが
今この瞬間はまるで獣のように激しく自分を求める。
それがキルアにはとても嬉しかった。

一生束縛されてもいい…鎖に繋がれたとしても…
ずっと彼の一番大切な存在でいられるのなら…

トロンとした目つきで汗ばみ、頬を赤くしたキルアの
妖しげな姿はますますクラピカを煽る。

「あ…」

「どうした…?」

「目が…」


クラピカの目が赤く染まっていた。

「…すまない…もう抑えが効かない…」

「うん…いいよ…オレ、その目好き…
きれいだし…クラピカがオレを求めてくれてる
のが嬉しいから…」

素直にそう伝えるキルアにいっそう愛しさが
募る。しかし、相手を気遣う余裕もなく激しくなっていく。
そんなクラピカの葛藤を打ち消すかのようにキルアは更に話す。

「気にしないでいいよ…
大丈夫だから…オレ…クラピカになら、
何されても…すげえ…幸せ…」

微笑むキルア。

クラピカはその夜、これまでで一番激しくキルアを抱いた。
また何度か体製を変えて、繰り返し夢中になって愛した。

「あっ…!あっ…!!…すっ…げ…」

深く突き上げてくるクラピカの愛情を
全身で感じて、互いに達した。

キルアはその後は気絶するように眠った。

その寝顔はまだあどけないのに、
またやりすぎたと反省してしまうクラピカ。

でも、もうキルアは悪夢は見ない…。

「私は…おまえを、夢の中まで束縛する…」

クラピカがキルアの耳元で静かにつぶやいた。
キルアは笑顔になった。
今は幸せな夢を見ているのだろう。

この笑顔を絶やさぬことを…クラピカは固く誓った。





それから数日後、レオリオの部屋に何気なく寄ったゴン。

「ねえ、レオリオ…」

「なんだ?ゴン。」


レオリオは何か書類を見ながら答えた。
ゴンはイスに座って別の方を見て話している。

「クラピカってさー…目が赤くなると大きくなるの?」

「ブッ!!」

突然まさかの質問をされ、思わず噴出すレオリオ。

「背が高くなるの?どれくらい?
大男になるの!?」


「…………」

まだゴンには想像もついていない。
ホッとするレオリオであった。





終わり


これも先にPIXIVにアップしてましたが、
挿絵を一枚描きおろして、少し文を書き足しました。







つづき




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