クラキルパラレル小説

「クラピカ王国」

第一話〜奇跡の運命〜



BL、クラピカ×キルアのカップリングが嫌いな人、18歳未満の方は読まないで下さい。
ちょっとイルミ→キルアなカンケイもあります。





ある所に、小さな国がありました。その国の王子の名はクラピカ。
この国には悪しき心を持つ者は存在しません。
もし悪しき者が進入しようとしても…生きられない場所なのです。

その国は濃い霧に包まれた不思議な世界。
しかしわりと近くに存在する世界でした。


「…なあ、兄貴、あそこだろ?オレ達が入れない国って…」
少年が、自分の家の窓からかすかに見える、霧に包まれた街を見て話す。

「ん?ああ…クラピカ・インタディクト…。
クラピカって王子の意に反する者は国に入ることさえできない。」

「入ろうとしたらどうなるの?」

「…息ができなくなって死ぬらしい…。そして、跡形もなく消える…」

「………」


少年はベッドの上にいた。
兄貴と呼ばれた男に背中を愛撫されながら…。

「キルア、そんなことより集中しろよ。
俺は殺しをやった後でおまえを抱くのを楽しみにしているんだからな…」

「はいはい」


俺達は先祖代々暗殺家業を営む闇の世界で生きる者…。
だから、絶対にあの国には行けない…。
でも…俺はあそこに行きたい…!

少年はそう願っていた。
好きでこんな暮らしをしているわけではないようだ。

クラピカ王国のことは謎だが、クラピカという王子の姿は
何かの雑誌で見たことがあった。

まるで女性のようにきれいな顔だち、いや、女性以上だ。
サラサラの金髪に、凛とした様子。
まだ16歳くらいだが、りっぱな王家の品格を持っていた。
大きな瞳は淡い緑に近かったが、時折赤くなることがあるという。
それは美しくも恐ろしい程だと言う。

キルアという少年は彼に恋していた。
会った事もない、会えるわけもない王子に…。



それから数日後、そのクラピカ・インタディクトの入り口に一人の少年が倒れていた。

それを発見したゴンという少年と、レオリオという男。

「レオリオ!見て!!誰か倒れてるよっ!」

倒れていた少年を抱き起こして様子を見るレオリオ。

「大丈夫だ。こいつは気絶しているだけだ。だが…」

「どうしたの?レオリオ?」


ゴンは心配して聞いた。

「こいつは確か…暗殺組織のガキだぜ。」

「えっ!?」

「なんでこんな奴がこの世界に…?」


「と、とにかく連れて行こーよっ!!
手当てして、それから、クラピカに会わせて…」


王子のクラピカを呼び捨てにする所を見ると、ゴンもレオリオも
彼の親しい友人らしい。

「だから、危険だって言ってんだよ!
こいつはガキと言ってもキルアっていう連続殺人犯だぜ!?」

「でもっ、この国に入れたってことは
クラピカにとって必要な存在だってことだよ!」

「む〜…しゃーないな…」


しかめっ面のまま、気絶した少年をおぶっていくレオリオ。


レオリオとゴンはさっそくこのことをクラピカに話す。


「何っ?プロの暗殺者?!」

クラピカは驚く。かつてそのような者が生きて
この国に入れたことはなかったのだから。

「そうだ!奴は危険だ!!すぐにこの国から追放した方がいい!!」

レオリオが言った。

しかし、ゴンは
「クラピカ、とにかくキルアに会ってみてよ!」と言う。

「…よし!私が直接会ってみよう。」

クラピカがそう言うと、レオリオが言った。

「気をつけろよ?念のため鎖で縛り付けておいたが…」

「ええっ!?そんなことしたの!?」と、ゴンが叫んだ。

「あたりまえだろ?それくらい危ない奴なんだ!」

レオリオは傷の手当てはしたが、目を覚ましたら何をするか
わからない少年だと信用していなかった。

「その少年のいる部屋に案内しろ。私が一人で会う。」

クラピカがとまどいも見せずに言った。

「だ、大丈夫か?」

レオリオは心配そうだ。

「平気だってば!」

ゴンは笑顔で言った。

クラピカはキルアの寝かされている部屋に一人で入った。
ゴンとレオリオは部屋の外で様子をうかがっている。

部屋は王家の中では地味な小さな部屋だ。
独房という感じではないが、キルアは小さなベッドに寝かされ、
鎖で拘束されていた。

「…目が覚めたか?」

みじろいだキルアにクラピカが話しかけた。

「…あんたがこの国の王子…クラピカか…」

キルアは顔を向けてクラピカを見つめた。

「ああ、そうだ。すまなかったな。鎖はすぐに外してやる。」

「いいよ、自分で外すから。」


キルアはそう言うと、バキッと鎖を契って起き上がった。
びっくりして少し警戒するクラピカ。

キルアはニッと笑った。

「…おまえは、どうしてこの国に来たんだ?」

クラピカは質問した。

「俺さ、自分の暮らしにあきあきしてたんだよね。
物心つく前から暗殺することとか、悪いことばかり
兄貴達に教えられてきたけど、本当にやりたいことを
自分で選びたいって思えてきてさ。
そんな時、この国の話を聞いて、あんたの顔を写真で見て…
死んでもいいからここに来たいなと思ったんだ。」

「しかし…おまえは生きている…」


「そうだね。俺もビックリしたよ。何で?何で俺、生きてこの国に入れたの?」

「…本当に、悪いことをやめて普通に暮らしたいと願っているから…か?」

「それだけ…?」


「他にどんな理由がお望みだ?」

「俺、あんたに興味あったんだよ。俺達とはまるっきり逆の、光の世界の
王子様…。悪いことは全くしないんだって?本当?」

「…さあね…」

「…で、俺をどうする?」


妖しく見つめる少年。しかしクラピカは冷静だった。

「…考える。しばらくここにいろ。」

「………」


とりあえず今すぐ追い出されることないんだ…キルアは内心ホッとしていた。



レオリオはクラピカ王家のおかかえの主治医であり、友人であり、
城の中に部屋を持たされてる。

ゴンはクラピカ王家のメイドの息子で、クラピカの護衛をするほどの
不思議な力を持っていた。彼も城の中に部屋を持たされている。


数日後、キルアはゴンとレオリオに案内されて街に出ることを許された。

しかし、見慣れぬキルアをジロジロ見る人々。噂は広がっていたのだ。

「あの子が暗殺者の…」

「どうしてそんな子がこの国に?」

「王子様は何を考えているのかしら?」

「追い出すなり、死刑にするなり、早くしてほしいよ!」


皆不審がってそんなことを言っている。
しかし…

「気にすることないよ!キルア!!」と、ゴンが明るく言った。

「べつに…気にしてないよ。慣れてるし…」

キルアは冷めていた。

「キルア!これで遊ぼうよ!!」

ゲームセンターに誘うゴン。2人で無邪気に遊ぶ姿を見て、レオリオはホッとした。


その後、クラピカの城にもどったレオリオはキルアについて報告をした。

「やっぱり、多少治安を乱す危険性はまだありそうだな。
だが、ゴンがいい友達になってくれてるのが救いだ。」

「…そうか…」

「どうするつもりだ?」

「……」



「あ、そうそう、奴ら、暗殺一家の詳しい情報を入手したんだが…」

「ああ…」


「奴らにとってキルアは頼もしい暗殺の仲間であると同時に…その…なんだ…」

言いにくそうな様子に首を傾げるクラピカ。

「なんだ?」

「…あいつさ、あんなガキなのに…男なのに…仲間にしょっちゅうヤラれてたらしいぜ…」

「何をだ?」

「だから…っ」


レオリオはクラピカにコソッと耳うちした。

クラピカは目を見開いた。




その夜、クラピカはキルアの個室に行った。

「キルア、もう寝ているのか?」

キルアはベッドに横になっていた。

「んうっ…やっ…やだっ…!」

どうやら寝言を言っているようだ。

「もう…やだっ…あに…きっ…」

「!!」


うなされたみじろぐキルアの額には汗がにじみ出ていた。

「本当だったのか…」

キルアが兄貴達に抱かれていたことを知ってショックをうけるクラピカだった。

そっとキルアの汗を持っていた柔らかい布で拭く。
そうするとキルアの寝顔は穏やかなものになった。



数日後の朝、光り輝く、のどかな光景を見ながら、広いベランダで共に食事を
取りながらクラピカはキルアに聞いた。

「キルア…この国は楽しいか?」

「うん、ゴンが友達になってくれたから。俺、友達って初めてなんだ。すごく嬉しいよ!」

「そうか…」


無邪気な笑顔を見てホッとするクラピカ。しかし、急にキルアの顔が暗くなった。

「でも俺…まだ恐いんだ…。いつか兄貴達が俺を連れ戻しに
来るんじゃないかって…」

「大丈夫だ。この国には入れない。」


「うん…そうだろうけど…思い出しちゃうんだ…夜になると…」
クラピカはうなされていたキルアを思い出す。

「キルア…」


クラピカはキルアを抱きしめた。キルアはビックリした。
密かにあこがれていた王子様に抱きしめられたのだから。



そしてクラピカは優しくささやいた。

「おまえの不安を消し去る方法はないのか?」

「…あんたが俺の不安を消してくれるの?俺が兄貴達に何されてたか知ってるの?」

「…ああ…」

「…同情ならいらないよ。俺が欲しいのは…」


すると突然クラピカが信じられないことを言った。


「おまえを…抱きたい…!!」

これには本当にキルアは驚いた。望んではいたが、まさかそんな…

「あんた、自分が何言ってんのかわかってんの!?」

キルアはクラピカの腕を払いのけ、そっぽを向いて言った。

「あんたこの国の王子だろ!?クラピカだろ!?そんなこと…」

「私の…正直な気持ちだ。私も始めは自分の気持ちにとまどったが、
いくら考えても否定できないのだ。私はキルアに心を奪われてしまったようだ。」


その言葉はキルアにとってとても甘く嬉しいものだった。でも…

「王子がそんなことしたらこの国の治安が悪くなるんじゃない!?」

「私は心から愛する者を求めてるだけだ!…もっとも、それは、
相手も同じ思いでなければ…成り立たないことだが…」

「…まるで…夢みたいだ…」


キルアはうつむいたまま体を震わせていた。

「キルア…?」

キルアは泣いていた。それに気付いたクラピカはいてもたまらず、
キルアを強く抱きしめた。


「夢じゃない…夢じゃないんだ…!!これからが現実だ…!」

クラピカが強い口調で言った。

キルアはゆっくり振り返り、クラピカを見つめた。
するとクラピカはそっとキルアの唇にキスをした。

キルアは感激してクラピカに抱きついた。

「本当に…いいの?俺なんかで…」

まだ涙の乾かない濡れた頬で不安げに聞くキルア。
クラピカは彼が愛しくてたまらなかった。

「おまえじゃないと…ダメなんだ…きっと…
私の運命の相手なのだと思う…」

「フッ…キザだね…」


笑顔を見せるキルア。あどけない表情にホッとするクラピカ。

「愛している…キルア…!!」

再びキスを交わす2人。今度は深いキスだった。


キスをしながら、息を乱す2人はお互いの服を脱がせ始めていた。

「んっ…ふっ…」

「はぁ…っ」


大きなベッドの上で、いつしか2人は一糸まとわぬ姿になっていた。

ここはクラピカの寝室。豪華な装飾でほどこされた家具で統一されていた。
ベッドは大人が5〜6人は寝れそうなくらい広く、美しい天蓋で飾られている。

「…きれいだ…キルア…」

「それはクラピカの方だろ。俺は汚れてるし…」

「いや…おまえはきれいだよ…」


キルアはそんな風に言われて、見つめられ、とても恥ずかしくなる。顔が赤い。
クスッと笑ってクラピカはキルアの首から胸を愛撫した。

「はぁ…あっ…」

キルアはそれだけで体中の熱が上がっていくようだった。
こんなこと、何度もされたけど、こんなこと初めてだ…
すごく胸がドキドキする…

「かわいいな…」

クラピカはそう言うと、胸の小さな尖りに唇を寄せた。

「ああっ…」

そこを舐められて、吸われて、もう片方は指で弄られて、
それだけなのに頭がおかしくなりそうなくらい感じてしまう。

「あんっ…やっ…そこばっか…」

「じゃあ…どこがいいんだ?」


キルアは目を閉じた。クラピカは彼の思うことがわかった気がした。

「ああっ!!」

クラピカの手がキルアの体の中心を優しく握った。
そっとその手は上下に動かされる。

「あんっ…はっ…」

クラピカの舌がそれをくわえると、キルアの体はのけぞった。

「ああっ!ひゃっ…」

ダメだ!なんだこれ!?すっごく気持ちいい!!
やばい…もたない…っ!

慣れてるはずの行為なのに初めてみたいに体がうずく。

「あっ…あっ…もう…」

「いいぞ…」


「あうっ…んっ…」

クラピカが強く吸った瞬間、キルアはその口の中ではててしまった。

「はぁ…はぁ…」

「大丈夫か?」

「ん…」


クラピカは自分の口の中の液体を指につけると、
キルアの蕾の中に入れ込んでいった。

「あっ…んんっ…」

「痛くないか?」

「んっ…平気…」


さらに奥に指が入ってくる。

「ああっ…んっ…」


ゆっくり中を押し広げていく細く長い指。
確かめるように指がある箇所にたどりつく。

「ひゃっ!!」

「ここか…」


前立腺。一番感じる場所だ。
しばらくなじませた後、クラピカは指を抜いた。

「はっ…」

息は荒くなるが、損失感の方が大きい。

「はや…く…クラピカの…ちょうだい…」

トロンとした目でだいたんなことを
口にするキルアに微笑みながら
クラピカは自分のモノを少しこすって、
そこへ入れていく。

「あああっ…!!」

少し入れただけで体が大きくしなった。
細かくゆっくり抜き差ししながら、奥へと進めていく。

「あっ…!あ…っ…はっ…」

「キルア…」


汗ばむ額についた前髪をなであげて優しくキスをするクラピカ。

キルアはクラピカの背中に腕を回した。

「ああっ!!」

クラピカが最奥にたどりついた瞬間、体がしびれるような
不思議な感覚が走った。

そしてゆさぶられて、何もかもわからなくなりそうな快感に襲われた。

「はっ…あっ…あんっ…」

「キルア…キルアッ…」


キルアがどこにもいかないように…ずっと側にいるように…
そう願いながら、クラピカは何度も名前を呼んだ。

「ク…ラピ…カ…」

うっすら目を開けて見つめているキルアの顔は喜びに満ちていた。

「もっと…もっと…」


その幸せが夢じゃないことを実感していたくて…
キルアは自分と愛する人の欲望に身を任せた。



激しい愛情表現の後、二人はしばらくよりそってベッドに横になっていた。

「…無理をさせたか?」

「ううん…すっごく良かった…」

「そうか…そう言われて安心した。私は初めてだったのでな。」

「えっ?ホントッ!?」

「ああ、男はもちろん、女性とも経験はない。」

「…それでよくあんな上手にできたね…?」


キルアは心底ビックリした。あまりに気持ちいいので
てっきりクラピカも経験があるのかと思っていた。

「…おまえを抱きたいと思ってから、最近学んだのだよ。資料を集めてな。」

「……この国でそんなのよく集まったな…」

「レオリオに頼んで別の国から集めてきてもらったのだ。」

「ああ…あのオッサンか…」


なんか納得してしまうキルア。



そのころレオリオは大きなくしゃみをしていた。

「ハックション!!」

「レオリオ、大丈夫?風邪?」

ゴンが心配する。

「いや…これは…俺のことをどっかの美人が噂してるに違いない。」

かっこつけたポーズでニヤリと笑うレオリオ。

「あ…そう…」


苦笑するゴン。

二人は街に買い物に来ていた。歩きながら話す二人。

「だけど…よかったね。キルアがこの国で生きて行けるように決まって…」

「フン、結局この国はクラピカしだいだからな!
あいつがいいって言えばよくなっちまうんだからしかたねえよ!」

「レオリオは不服なの?キルアのこと…」

「こんなこと前代未聞だからな。でも…おまえにいい友達が出来て、
クラピカには…」

「クラピカにもいい友達だよね!」

「……あ、ああ…」


さすがにまだゴンには真相は言えないレオリオだった。

まさかあんなガキに…あいつが惚れちまうなんてな…

ま、親友としては祝ってやるしかねえよな。
レオリオは城の方を見て微笑んだ。



クラピカとキルアはまだベッドの中にいた。離れがたいように
お互いの体に触れながら…

「俺…本当にこのままこの国にいていいの?」

「いてくれなければ皆も困る。」

「え?」


「この世界は私の意志で成り立っている魔法の国なんだ。
だから私が今までと違うことをしてもすべて正しいことになる。
私は基本的に自らの勝手な欲望だけのために人を傷つけたりする者は
嫌いなので、そういった人間は受け付けないのだ。」

「俺は…?人を傷つけたことあるのに…」

「お前は違う…そうさせられてきただけで自分の意思ではなかっただろう?
人の心がわかる人間だ。そして…おまえはもう私のモノだ…」

クラピカはキルアを抱きしめて言った。

「おまえがいないともう私は生きていけない…」

「…バカだなあ…王子がそんなこと言って…」

そう言いながらもキルアは嬉しくて涙ぐんでいた。

「…いつまでも…ここにいてくれ…私と共に…」

「…うん…」


キルアはクラピカの胸に顔をうずめた。




ちなみにそのころ、キルアの兄貴は…

「あーあ…やっぱりキルアは死んじゃったのかなあ?
俺のお気に入りだったのに…」

と、ため息をついていた。

側に誰かがいる。

「いいじゃん。僕がいるからさみしくないでしょ?」

「……さみしくはないけどさ…」

「…不満?」


ピエロのような風変わりな男を見てはあ…と再びため息をつく兄貴。









おしまい



これも先にPIXIVにアップしてましたが、
挿絵を一枚描きおろしました。

続きを待望されていたので二話もアップしました。







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