クラキルパラレル小説

「クラピカ王国」
第三話〜王子の婚約〜



BL、クラピカ×キルアのカップリングが嫌いな人、18歳未満の方は読まないで下さい。
ちょっとイルミ→キルアなカンケイでもあります。




クラピカはキルアとの関係が深くなるにつれ、
その責任を感じていた。

やはりきちんとした形にするべきだと
考える真面目な彼は、キルアに正式にプロポーズしたのだ。

クラピカ王国では同性同士でも結婚できるし、
王家を継ぐ者は血縁関係でなくても良いので許されることだった。

クラピカが両方の手の指に一つづつしていた赤い石の指輪
(一話のイメージイラスト参照)のうち左の手の指にある方は
婚約者にあげるという決まりになっていた。

それをキルアにあげたのだ。

まだキルアには少しサイズがゆるいので
キルアは首飾りにして持っていることにした。

「結婚かあ…」

なんか実感がわかないキルア。
式はまだ先だというが、
考えると不思議な気持ちになるのは当然である。

「まあ…やることはたくさん
やってるけどな…」


独り言を言っていたキルアに
突然ゴンが元気に話しかけてきた。

「キルア!おめでとう!!」

「えっ!?」

ベランダで一人で考え事をしていた所に急にゴンが現われて
びっくりしてイスからずり落ちそうになるキルア。

「クラピカと婚約したんだって!?」

「…え?なん…で…」


ゴンにはまだクラピカと付き合ってることも
秘密だったのにいきなりそう言われてあせるキルア。

「聞いたよ!クラピカに!!」

「そう…なのか…?」


なんだか今まで隠していたことが後ろめたい。

「…ごめんな…ゴン…おまえに言えなくて…」


「ううん、いいんだよ!
今まで何か変だなとは思うことはあったんだけど、
オレ、そっちの方は鈍いから…。
でもキルアの気持ちはわかるよ。」

「ゴン…」

「幸せになってね。キルア!」

「あ…ありがとな…」


なんか恥ずかしいが、良い友達を持って本当に恵まれてる。

しかし…キルアにはまだ不安があった。

ある夜、キルアはクラピカとの逢瀬のために
ゴンの部屋から出て行く。

「じゃ…オレ、今日はクラピカの部屋で寝るから…」

「うん!おやすみ!!」


いつもの無邪気な笑顔で明るく送り出すゴン。

本当にゴンは二人の関係を理解しているのだろうか?
キルアはちょっと恥ずかしい思いでいた。


キルアはクラピカの部屋に行くとシャワーを浴びて、
ガウンのような物を着てベッドに横になっていた。

クラピカも同じ格好をして
後からキルアの待つベッドに座った。

「…どうした?何か不安でもあるのか?」

キルアの様子にクラピカが気付いた。

「……クラピカ…」

「ん?」


クラピカはキルアの横に共に
横たわるようにして優しい笑顔で答える。

「本当に…オレなんかでいいの?」

「キルア…」


クラピカの笑顔が少し悲しい顔になった。
キルアが少し体を起こして声を大きくして言う。

「だって…オレ、クラピカに会う前は
人を何人も殺したり、兄貴に抱かれてたんだぜ!?」

「それは、何度も話しただろう?
それでも私はおまえを受け入れている!
私はおまえを愛しているからだ!!」


クラピカもハッキリした口調で言った。真剣な眼差しで
キッと見つめられてキルアは目をそらした。

「だけど…オレに…クラピカと
結婚する資格なんてない…」

キルアは首から下げている指輪のついたネックレスを
さわりながら背中を向けてうつむいた。


「キルア…」

クラピカもうつむいた。




「……おまえは…私と別れたいのか…?」

そう言われてキルアは胸が痛くなった。

「別れたくない…オレだって…クラピカのこと…好きだ…」

「では、なぜそういうことを言う!?」


クラピカが大きな声を出した。

「好きだから…クラピカにつらい思いをさせたくないんだ…!」

キルアの目から涙が溢れ出した。

「オレはもう人を殺さない…兄貴とも他の誰とも寝ない…!クラピカだけ!!」

「それなら良いではないか!過去はもう過ぎ去ったことだ!!」

「だけどっ…オレがした罪は消えない…!
記憶から完全に消すこともできない!!」


「…罪はこれからのおまえの行いで償っていけば良い…。
そもそもおまえがしてきたのはおまえのせいではない!
みんな兄に強制されていたのだろう!?」

「…そう…兄貴には抗えなくて…
言いなりだった…何度も抱かれたし…」


「キルア!!」

クラピカが後ろからキルアを強く抱きしめた。

「…おまえは私に抱かれている時、兄のことを思い出すのか?
私より兄に抱かれている方が感じたのか!?」


「そ、そんなわけねえだろっ!!そりゃあ…たまに思い出してたけど…
それは一人で寝てた時だし!超うなされてたし!!
…クラピカとした時に初めて抱かれることが気持ち良いって知ったんだ!!
……あんなの嫌だった…人を殺した死臭のしみついた手で…
オレを抱く兄貴が…無表情でオレに触れる…。
オレは操り人形だった…。初めは痛くて気持ち悪くて声を上げたけど…
それを兄貴はオレが感じてると勘違いして
かまわず続けた…。オレは拷問を耐えるように、
声をあげないようにした……。もう…何も感じなくなってた…」

「キルアッ…!」


クラピカがキルアの体を自分の方に向けた。

「すまなかった…つらいことを…言わせてしまった……」

「クラピカ…」

キルアはクラピカの胸に抱かれて泣いていた。


「キルア…私も正直に言おう。」

「え…?」



クラピカはキルアを再びベッドに寝かせて上から見下ろして言った。

「…私も不安だった…。」

クラピカはキルアに優しく口付けをした。

「おまえが私より、兄にすべてを
縛られたままでいるのではないかと…」

キルアのガウンをゆっくりぬがしていくクラピカ。
そして首筋に軽くキスをする。

「ん…っ」

それだけで顔を赤らめて感じてしまうキルア。

「こうしておまえを抱いている時…
おまえの身じろぐ扇情的な様子に煽られながら、
以前は兄にも同じ顔を見せて同じ声を聞かせて
いたのかと想像してしまい、胸が苦しくなった…」

「クラピカ…」


クラピカはキルアの胸の辺りを撫でながら
せつなげな表情で言った。

「過去のことなのだからしかたがないと割り切るのが正しいのだろう。
しかし、私は始め、かなり葛藤した。
おまえの過去までも独占したいなどと…浅はかなことを考えてしまった。」

「それって…やっぱオレが汚れてるから…
クラピカにふさわしくないってことだよね…
ごめんね…オレ…クラピカが初めてじゃなくて…」


キルアが涙ぐんで言った。

「そうではない!!」

クラピカが大きな声で反論した。

「私は、それだけおまえを愛してるということだ!!
愛するがゆえに…済んだことにまでヤキモチを妬いてしまった…」

「ヤキモチ?クラピカがオレと兄貴に?」


キルアは驚いた。
妬かれるような関係ではないと
自分では思っていたし、でもなんだか嬉しかった。

「オレ、兄貴のこと大嫌いだったんだぜ?
妬くことなんてないのに…」

キルアはクラピカを両手で引き寄せて抱きしめた。

「さっきも言ったけど、あんなのクラピカとするのと全然違ってたから、
オレ、クラピカにしか見せてない顔いっぱいあるよ…」

「…おまえを愛する心が深くなるにつれ、
私はますます嫉妬した…。
こんな…愛しいおまえに…触れた者がいたことを…」

「クラピカ…泣かないで…」


クラピカの目が潤んでいたのであせるキルア。
そっとキルアからクラピカに口付けた。

「こんなこともしたことなかったよ…」

ちょっと照れながら微笑んで見せるキルア。

「クラピカにだけ…初めて好きになった人だから…」

「キルア…」


愛しさで思いがあふれそうだった。
クラピカはギュッと強くキルアを抱きしめた。

「私は…できることならおまえの過去を本当に
消してしまいたいとさえ思った。
だが…人は皆それぞれつらい経験などを
乗越えて今を生きている。過酷なこともあるが、
きっとそれすらも意味があってのことなんだろう…。」

「オレ…この国に来てから…ゴンやクラピカに会ってから…
生まれ変わった感じだよ…。
だからもう…あれは悪い夢だったと思うことにした。
そしてできるだけ忘れるようにしようって…」

「だったら…なぜ今になって私の相手として
ふさわしくないと不安になる?」

「だってさ……結婚なんて…、オレ、よくわかんなくて…。
しかも王子の婚約者って…!オレ、お姫様になるの?」


そう聞かれて思わずクラピカは噴出した。

「プッ…おまえのドレス姿はかわいいだろうな…」

「ちょっ…オレ、ドレス着なきゃダメなの!?」

「ハハ…冗談だ。べつに結婚しても対して今までと
変わらないから安心しろ。」

「そうなの?」


クラピカはキルアの髪を撫でて、優しい口調で微笑んで言った。

「ただ…二人の時間が長くなるのと
絆がよりいっそう強くなるだけだ…」

「今までよりたくさんクラピカといられるの!?」

「そうだな…そのうち専用の屋敷を建て増しする予定だ。」

「すげえ…」


クラピカもガウンを脱いで再びキルアに口付けた。
今度は深いキスだった。

「んっ…ふっ…」

口を離すと互いに息が乱れるほどだ。

「はぁ…はぁ…」


「おまえのすべてが欲しい…!
絶対に…私はキルアを放さない!!」

「もう…とっくにオレはクラピカだけのものだよ…
だから…いっぱいシテ…」

「フッ…する時はいつもたくさんしてるだろう?」

カアッと赤くなってキルアが口をとがらせた。

「まあ…そう…だけど…」

「本当におまえは…かわいいな…」



クラピカがキルアの腰骨をさするように
手を這わせながら、胸の突起を吸った。

「あっ…!」

そして手はキルアの中心に移動し、こすりながら、
もう片方の胸の突起の輪をなぞるように舌で強く舐めまわした。

「ああっ…んっ」

すぐにキルアの中心は濡れて固くなってくる。その液体を指につけて
クラピカはキルアの後ろの蕾を解していく。

「んあっ!」

指が増えて奥へと入っていく。
中で指を回し広げられてキルアの体がのけぞる。

「はっ…あっ…」

指を抜いてクラピカのモノがそこにあてがわれると、
キルアは自ら足を広げて受け入れる。少しづつ中に挿入されていく感覚は
いつも身震いするほど感じる。

「あうっ…んっ…!」

お互いの呼吸が整った時に、クラピカはゆっくり動き出す。

「あっ…あっ…」

キルアが高めの声で頬を染めてあえいでいる姿に、クラピカは
いっそう行為に夢中になっていく。

「あっ…!んっ!…あうっ!」

ビクビク体が反応する。

「キルア…」

キルアが閉じていた目をうっすら開けると、またクラピカの目が赤くなっていた。

「クラピカ…」

キルアは両手をクラピカに差し出した。

クラピカはキルアを抱きしめて、そのまま体を起こし、体制を変えた。

クラピカの座る膝の上にキルアを乗せて、
キルアの小さなやわらかいお尻を軽くもんで、
自分のモノを下から突き上げた。

「あっ…!んっ…!はっ…あっ…!」

同時にキルアのモノがクラピカの腹に当たり、
こすれてとても気持ちが良い。

「あはっ…んっ…!やうっ…」

キルアも自分で腰を動かす。

「ク…クラピカ…クラピカ…ッ」

快感で潤んだ目でキルアがクラピカの名前を呼ぶ。
クラピカはキルアに再び熱い口付けをしながら続けた。

「ふっ…あっ…あんっ…!」


夜は長く二人の愛を見守るような時間だった。


朝、目覚めた二人はシャワーを浴びて
少しのんびりとソファーでくつろいでいた。


クラピカが座っている膝の上にキルアは頭を
乗せて甘えるように横たわっていた。
そのキルアの頭を優しく撫でているクラピカ。

「ねえ…ところでさ、クラピカ、
ゴンになんて説明したの?」

「ああ…プロポーズをしたのだから、いつまでも
秘密にしていてもいけないと思い、私達が恋人同士で、
結婚するという話をしたのだよ。」


「…あいつさ、それでもケロッとしてんじゃん?
本当に意味わかってんのかな?」

「わかってると思うぞ。私達が夜を共にする理由も
納得していたようだからな。」

「マジ!?…なんかやっぱ恥ずいな…」

「おまえも理解のある親友を持って恵まれたな…。」

「うん…変わってるけど、ゴンはおもしれー良い奴だよ。」


「そういえば…キルアはここに来て私達に会って
生まれ変わったと言った時にレオリオの名前が出なかったが、
あいつは私の親友で、ああ見えても結構気を使う良い奴だ。
おまえのこともちゃんと心配してるんだぞ?」

「……あのおっさ…レオリオ…一番のクラピカのダチだろ?」

「そうだが?」


「医者だし、クラピカを診ることもあるだろ?」


「……まさか…キルア…妬いているのか?」


赤くなってすねた様子のキルア。

「ハハハ!バカだな。」

「な、なんだよ!笑うなよ!!」

体を起こしてむくれるキルア。

「オレだってクラピカが好きなんだから、
ヤキモチくらい妬くよ!」


クラピカは座ったままキルアの肩を抱き寄せた。

「そうだな…私もたまにゴンがうらやましく思えることもある…」

「えっ?」

「ゴンは私にはできないことで、
おまえを和ませることができるからな。」

「バッカじゃないの!?
オレ達浮気とかしてるわけじゃないのに…」


「フフ…そうだな…。
それぞれ本当に良い親友を持っているということだ。
安心しろ。レオリオは女性にしか興味はない。
寒気のする想像はするな。」

「まあ、そんな感じだな…」




そのころ、レオリオはまたくしゃみをしていました。

「ブワックション!!」

「レオリオ、…また誰かが噂をしてるんだね…」

ゴンと一緒に朝食を食べに行く途中だった。
クラピカ城の広い廊下を歩きながら。

「もお、オレってモテモテだよな!」

「ハハ…」


プラス思考で明るいレオリオにやはり苦笑するゴン。
そしてふいにゴンが言った。

「ねえ、レオリオ。キルアとクラピカ、
昨日は久しぶりに一緒に寝れて良かったね。」

「ブッ!!」


レオリオがまたゴンの発言にビックリして噴出す。

「おまっ…意味わかってんのか!?」

「え?二人は婚約したんでしょ?クラピカから聞いたよ。」

「マジか…」


「ところでさ、恋人同士って二人で
夜、どんなことするんだろうね?」

「…!!(やっぱこいつ、わかってない!!)」


頭を痛めるレオリオであった。











終わり



これも先にPIXIVにアップしてましたが、
挿絵を一枚描きおろして、少し文を書き足しました。

シムピ日記のクラピカ王国はちょっと設定が違う点も
ありますが、ますますおもしろいことになっています。
宜しければそちらもご覧下さい。







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